萩原 朔太郎 特集
旅 上
竹
白い月
晩 秋
自然の背後に隠れて居る
蛙の死
馬車の中で
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晩 秋
高見 優子 朗読
汽車は高架を走り行き
思ひは陽ざしの影をさまよふ。
静かに心を顧みて
満たさるなきに驚けり。
巷(ちまた)に秋の夕日散り
舗道に車馬は行き交へども
わが人生は有りや無しや。
煤煙くもる裏街の
貧しき家の窓にさへ
斑黄葵(むらさきあおい)の花は咲きたり。