霧の行進
輝く葉
空 間
君が香料の園
同じ道を歩く
あまりに
も遠くに旅して
わが風景画のいし
ぶみ
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霧の行進 私の生を過ぎてゆく 霧の行進のなかには 折につけ 幾度も繰りかえし見る 多くの古い形態があり 非常に多くの表情がる。 時には、 埃よけや 書きつけの証明書を収納している 本棚の間には アーモンドの芽 丸い顔 丘に生える荒涼とした枝枝 時には、 廊下に敷かれたカーペットの上、 指先上の金属盆 白黒の吟遊詩人 給仕の 髪の毛の 黒い点 黒い衝撃 時には 移動するファイル類 応答するベル 携帯する公文書 水掛け論 貴族 平民 時には、 |
スキタイ人の横顔 遠く離れた公文書保管庁に 直立する衛兵 静かに緊張し灰色がかった 軍人のイメージ 時には、 クトブの影のなか 機械作りの 鷹狩りのカーペット、 影は 古びた墓と 濡れた草を閉じ、 濃さを増す暗闇のなかの 木の下の潜伏。 時には、 ホテルのカウンターの背後の 無人の場の ドイツ人ための予約席、 そこから隠れたテラスと カーテン仕切りのドアのついた壁龕(ニッ チ) へと続く 狭い上り階段。 時には、 距離は消えうせ 風の中に髪は逆だち ま た遠い空間へと 形態はまぎれ、 スパイクのついた 靴の中の 脚の長い 柳腰の足どり。 そして幾度も幾度も 繰り返し見る おびただしい数の新しい形態 おびただしい数の古い顔貌、 終りのない痕跡の中を 霧の行進は 移動し続け |